静岡県伊豆高原の「坐漁荘」で新選組ゆかりの名刀を堪能、そして抜刀体験をしてみた

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静岡県伊豆高原の閑静な別荘地に位置する浮山温泉郷。現在、この地を代表する高級温泉宿「ABBA RESORTS IZU – 坐漁荘」で、50周年を記念した特別イベント「日本刀祭」を開催中。2019年3月31日までの期間限定で、新選組にゆかりのある歴史的名刀が特別に披露されています。

坐漁荘本館にある刀剣ギャラリー「義の心」では、人間国宝に認定された天田昭次氏の遺作をはじめ、貴重な刀剣を常設展示中。さらに、3月31日までの「日本刀祭」の期間中は、新選組の浪士たちにも愛された、歴史的名刀にもお目にかかれるのです。

実際に新選組の浪士たちが所持していたものというわけではありませんが、展示されている日本刀は新選組が使ったものと同じ刀工のもので、本人たちが使用していた以上のクオリティを誇るもの。

土方歳三ゆかりの刀として登場しているのが、土方が愛用していた和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)のなかでも最も優れており、ほかと区別するために「之定(のさだ)」とも呼ばれる2代目兼定の作。土方の愛刀として知られる兼定は、11代目の作とされています。

近藤勇ゆかりの刀として展示されているのが、長曽祢虎徹(ながそねこてつ)。「近藤勇といえば虎徹」といわれた虎徹は、新選組の時代から国宝級の名刀だったため、贋作も多かったといいますが、ここに展示されているのは鑑定を経た本物です。

この二本が同時に揃うことはめったになく、刀剣ファンならまさに垂涎もののラインナップ。ガラスを通してではありますが、静かな環境で、真剣を間近で見られるというのもなかなかない機会です。

ギャラリー「義の心」での特別展示に加え、2019年1月27日には、一日限りの抜刀体験も開催。筆者も、ドキドキしつつ初めての抜刀に挑戦してみました。

今回の抜刀体験を指導してくれたのが、抜刀や書道、茶道といった和の総合学院「HiSUi TOKYO」を運営する一般財団法人「翡翠会」。

新選組についての講義を受けた後、翡翠会の師範による演武を鑑賞します。男性はもちろんのこと、女性が日本刀を操る姿のかっこいいこと!凛とした気迫とともに、ゾクゾクするような色香を感じ、思わず目が釘付けになってしまいました。

これを見れば、「日本の文化は、語って伝えるものではない」という大師範の言葉の意味がよくわかります。百聞は一見に如かず。ひとつひとつの所作の意味は、言葉で伝えきれるようなものではなく、実際に見て、感じてこそ、腑に落ちるものなのです。

反対に、言葉は少なくても、細部まで行き届いた所作や、射すくめられるようなまっすぐな視線を目にすれば、「抜刀術のなんたるか」が感覚的にわかるような気がします。

続いては、いよいよ抜刀体験。道着に着替えて、「起立!」「礼!」のかけ声をかけられると、気持ちも引き締まり、凛とした緊張感に包まれます。

いくら「体験」とはいえ、本物の日本刀を扱う以上は、文字通りの真剣勝負。下手をすると怪我をしてしまうわけですから、いいかげんな態度でいたり、ヘラヘラしていたりすれば、大師範に叱られてしまうかもしれません。考えてみれば、大人になってからこの種の緊張感を味わう機会はめったにありませんでした。

緊張感のせいか、みなぴりっとした動きをしていたようで、「皆さん素晴らしいですね」と褒められました。

最初にストレッチで身体をほぐした後は、模造等を使って基本的な動作の練習をします。

日本刀を扱ううえで、欠かせない姿勢が「居合腰(いあいごし)」。右足を前に出して腰を落とすというシンプルな姿勢ですが、重心を落としてしっかりと身体を支えることは、自分の身を守るためにも大切なこと。直立状態で日本刀を振ると、遠心力で身体がぐらついてしまうので極めて危険。刀を振った後、きちっと動きを止めるためにも、できなければ話にならないのが居合腰なのです。

この姿勢をとること自体は、そう難しいことではありません。ですが、慣れていなければ、たとえ5分でもこの姿勢をとり続けるのはかなり辛いもの。日ごろ運動不足の筆者は、すぐに左足の筋肉が悲鳴を上げてしまいました。

模造刀での練習の後は、参加者が一人ずつ、真剣での試し斬りに挑みます。やってみないと、「巻藁(まきわら)を刀で切るくらい、何が難しいことがあろうか」と思ってしまいますが、これが予想以上に難しい・・・。

日本刀のしくみを知らないと、包丁で野菜を切るように、対象物に対して垂直に刃を当てれば切れるのではないかと考えがちですが、刃を横にしてしまうと、とたんに切れなくなってしまうのです。

居合腰の姿勢で、重い真剣を高いところから振り下ろすのは、見た目以上の体力勝負。端から見ているとあまり身体を動かしているようには見えませんが、普段使わない筋肉を使うので、思った以上に疲れますし、身体も温まります。

しかも、ただ刃を真っすぐに当てればよいというものでもなく、刀を十分な高さから振り下ろし、勢いよく斬りつけることも重要。ここで刀に対する恐怖心や雑念があると、勢いがつかず、刀がわらにめり込むだけで、うまく斬り落とすことができません。

頭ではわかっていても、すぱっと勢いよく斬りつけることができず、筆者は三度目の挑戦でようやく成功。うまくできたと思ったら、次のトライではまた失敗していました。

ほかの参加者を見ていても、一度成功した後はまた失敗してしまう人が続出。「ああ、こんなものか」という気の緩みは大敵ということですね。今はともかく、武士の時代には、刀の一振りが生きるか死ぬかを左右したわけですから、武士は油断することなく、常に新鮮な気持ちで刀を構えていたのだそうです。

実際に体験してみて、抜刀というのは、思った以上にその人の心のありようがはっきりと表れるものだということがわかりました。刀と向き合うことは、自分自身と向き合うこと。常に新鮮な気持ちで刀と相対し、ひとつひとつの所作に神経を配ることは、斬るか斬られるかの敵に対する最低限の礼儀でもあったのでしょう。

抜刀体験は一日のみの限定イベントでしたが、新選組ゆかりの名刀は、引き続き2019年3月31日まで見学可。日本刀祭の期間中、刀剣ギャラリー「義の心」は、坐漁荘の宿泊者以外も鑑賞できるようになっています。

坐漁荘で評判のフレンチレストラン「やまもも」は、ランチタイムなら宿泊者以外も利用でき、コースは3000円から(税・サ別)と値段もお手頃。アラカルトメニューもあり、知る人ぞ知る美食宿の料理を気軽に楽しむチャンスです。

貴重な名刀を鑑賞した後、坐漁荘が誇る美食に舌鼓を打てば、心も身体も満たされる、特別な一日になるに違いありません。

※刀剣ギャラリー「義の心」は、予約なしでも見学可能ですが、「日本刀お手入れ鑑賞」開催時など、見学不可となる時間帯があるため、事前の問い合わせをおすすめします。

Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア

名前 ABBA RESORTS IZU – 坐漁荘(アバリゾート イズ ザギョソウ)
住所 静岡県伊東市八幡野1741

Source: GOTRIP!

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